総裁のおことば

公益社団法人日本植物園協会第56回大会 総裁 秋篠宮皇嗣殿下 おことば

公益社団法人日本植物園協会「第56 回大会」が、本日と来月21日および23日に、2 年ぶりに開催されます。

しかし、COVID-19 の収束が見えない今日(こんにち)、一堂に会することは残念ながらできません。そのようなことから、本年は全国の会員園をWEBで繋いでの開催となりました。私も、できるだけ多くの時間を皆様とともに過ごしたいと思っております。

日本植物園協会は、1947年5月の設立以来、今年で74年目を迎え、全国的な植物園ネットワークを通じて、植物園や植物に関する文化の発展と科学技術の振興、自然環境の保全に大きく貢献をする事業を実施してまいりました。

しかるにCOVID-19の感染拡大により、休園をせざるをえない園や来園者の減少、栽培管理への影響など、全国の植物園は様々な問題に直面しております。

そのような中にあって、それぞれの園では、オンラインによる情報提供や地元の学校との交流促進など、新たな取り組みを行い、植物の魅力や植物園の意義の再認識につなげていると伺っております。

また、協会としても現況に鑑み、予防対策など、来園者を迎えるにあたって参考となるガイドラインを作成し、各園に配付いたしました。

さて、この度の開催園である名古屋市東山植物園は、園芸品種を含めると約7,000種類の植物を保有しており、その内シンノウヤシなど13種については、1937年の開園当初からのものが保存されています。

また、最初期からある温室前館は、本年4月に復原公開されていますが、現存する公共温室では日本最古であり、その外観の美しさから「東洋一の水晶宮」と称され、2006 年には国の重要文化財に指定されております。

そして現在、東山植物園は、市民をはじめ訪れる人たちの憩いの場であることは勿論のこと、絶滅が危惧される植物についての保全活動や、植物知識の普及啓発活動にも精力的に取り組む植物園として、幅広い社会貢献をしておられます。

この機会に、私自身も見学することを楽しみにしておりましたが、今回は叶いません。コロナ禍が収束した折には、是非とも再訪したく思っております。

終わりに、本日からの大会が、植物園を拠点とした植物の管理育成、植物多様性保全、植物学ならびに植物文化の普及啓発などについての活発な意見交換および情報交換の場になることを期待いたします。そして、全国の植物園の有機的なつながりを一層強め、あわせて、日本植物園協会の活動がますます充実していくことを願い、私の挨拶といたします。