総裁のおことば
公益社団法人日本植物園協会第57回大会 総裁 秋篠宮皇嗣殿下 おことば
57回目を迎えた「公益社団法人日本植物園協会」の大会が、古来、美濃・飛騨と呼ばれた自然豊かな岐阜県で開催され、皆様とお目にかかれましたことを誠に嬉しく思います。また、本日表彰を受けられる方々に、心からお祝いを申し上げます。
日本植物園協会は、1947年に任意の団体として設立されて以来、今年で75年目を迎え、全国的な植物園ネットワークを通じて、植物園や植物に関する文化の発展と科学技術の振興、自然環境の保全に大きく貢献する事業を実施し、人類と自然が共存する、豊かで持続的な社会の実現に寄与することを目的とし、活動してまいりました。
しかしながら、2020年初頭からのCOVID-19の感染拡大により、同年の大会は中止。そして昨年は、2年ぶりの対面での開催の予定でしたが、感染状況に鑑みオンラインでの開催となりました。そのようなことから、3年ぶりの対面を中心としたハイブリッドでの開催には、皆様それぞれに感慨がおありではないかと思います。
さて、今回開催を引き受けてくださった「内藤記念くすり博物館附属薬用植物園」は、1971年に内藤記念くすり博物館とともに開設され、展示館・図書館と合わせて薬草や薬への理解を総合的に深められる施設です。年間を通じて約700種類の薬用植物、有用植物を栽培して一般に公開しております。そして、現在博物館では、生薬などの展示のほか、ウイルス全般とCOVID-19に関する企画展も開催されています。
なお、薬用植物園という日本植物園協会の第4部に属する植物園での開催は初めてとなります。
この2年以上にわたる感染症の流行による来園者の減少で、植物のすばらしさを発信する機会は随分と限られてしまいました。そのことに、もどかしさを感じている園も多々ありましょう。しかるに、そのような中にあっても、来園者に安心して利用していただける仕組みづくりへの取り組みやWEBによる情報発信など、新たな展開に工夫をこらされている園も多いと伺っております。これらのことは、植物園の意義を多くの方々に知っていただくことに寄与していることと思います。
本日からの大会が感染症対策を十分に施した中で開催され,植物園を拠点とした植物の管理育成、植物多様性の保全、植物学および植物文化の普及啓発などについての活発な意見交換の場になることを願っております。そして、全国の植物園の有機的なつながりを一層強めるとともに、日本植物園協会の活動がますます充実していくことを期待いたします。 おわりに、今回の大会が皆様にとり、実り多きものとなることを祈念し、私の挨拶と致します。